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今回は国民年金と厚生年金の関係について触れたいと思います。
よく使われる表現があります。
「公的年金制度は2階建てであり、1階部分が国民年金制度で、会社員や公務員など給与収入を得ている方々は2階部分の厚生年金保険制度に加入することになる。」
皆さんも一度は耳にしたことや文章として見かけたことがあるのではないでしょうか?
これはその通りであって、決して間違いではありません。
ただ、ここで終わるとあまり意味を為さないので、もう少し掘り下げていきたいと思います。
【国民年金制度】
⒈ 「基礎年金」
国民年金法による給付は主に3種類です。
➀ 65歳になった → 老齢基礎年金
➁死亡した → 遺族基礎年金
➂障害が残った → 障害基礎年金
いずれも「基礎」年金です。老齢「国民」年金 / 遺族「国民」年金 / 障害「国民」年金 などとは呼ばれません。実はこの「基礎」年金という表現にも意味があって、日本国内に居住する20歳以上60歳未満の国民は全員が加入することになるよ、というメッセージになっております。したがって、1階部分と呼ばれます。
⒉ 対象者
上記のとおり、日本国内に居住する20歳以上60歳未満の国民全員です。
これは国民年金法第1条に根拠が示されております。
国民年金法第1条
「国民年金制度は、日本国憲法25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」
「え?」と思われた方もいるかもしれません。
何故なら冒頭に
「会社員や公務員など給与収入を得ている方々は2階部分の厚生年金」
とあるじゃん!
その通りです。
会社員や公務員は厚生年金の対象者です。
一体どっちなのよ?となりますが、このカラクリは次のとおりです。
国民年金の「被保険者」(※)は、自営業者や学生、無職の方など会社員や公務員以外の方になります。
(※)被保険者 → それぞれの保険をかけられている人
すなわち、
国民年金制度に保険料を支払う対象者 = 自営業者や学生、無職の方
となり、
厚生年金保険制度に保険料を支払う対象者 = 会社員や公務員
となります。
【厚生年金保険制度】
⒈ 対象者と目的
対象者( 被保険者 )は上記にある通りで、「会社員」や「公務員」となります。
これは厚生年金保険法第1条に根拠が示されております。
厚生年金保険法第1条
「この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」
この条文で重要な語句は「労働者の」と「労働者及びその遺族の」の2つです。この2つの語句が示すものが「会社員」や「公務員」などの被用者(給与所得者)及びその遺族となるわけです。ちなみに健康保険制度や厚生年金保険制度は「被用者保険」と呼ばれております。
⒉ 「2階部分」の意味
厚生年金保険制度に加入していれば、国民年金の基礎年金に加えて厚生年金も受給することができます。「会社員」や「公務員」等の被用者は、厚生年金保険制度に加入し、保険料も厚生年金保険制度に支払っている一方で、保険料を支払っていない国民年金制度の基礎年金給付も受けることができる、ということになります。
さて、国民年金制度から厚生年金保険制度加入者に基礎年金を給付するための財源はどうなっているのでしょうか?
その答えは厚生年金保険制度から拠出される「基礎年金拠出金」にあります。実は厚生年金保険制度から国民年金制度へ「基礎年金拠出金」として財源が移管されているのです。「基礎年金拠出金」は、全ての年金制度の被保険者数総数 に占める 厚生年金保険制度の被保険者の総数&その扶養者の総数 の割合に応じて算出されております。
以上により、「会社員」や「公務員」は厚生年金保険制度に加入することで、国民年金の基礎年金も受給できることになり、自営業者や学生、無職の方にはない厚生年金保険制度の「2階部分」を受けることができる、となるわけです。
今回は国民年金と厚生年金の関係について触れました。両制度のお金の流れからアプローチしてみました。ちょっと難しかったかもしれませんね(´・ω・`)次回は「国民年金と厚生年金の保険料」に関して書きたいと思います。
今年は最後の投稿となります。
お付き合い頂いた皆様、大変ありがとうございました!
厚くお礼を申し上げます。また、来年もどうかよろしくお願い致します<(_ _)>
最後までお読み頂きありがとうございました!
【参考文献】
・知りたいことが全部わかる!障害年金の教科書 / 漆原香奈恵・山岸玲子・村山由希子 /
(株)ソーテック社 / 2019年12月31日 初版第1刷
・精神疾患にかかる障害年金請求手続 完全実務マニュアル【3訂版】 / 塚越良也 /
(株)日本法令 / 2016年12月1日 3訂初版
・苫小牧市 福祉ガイドブック 2021年版
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